Research

3次元矯正コンピュータ・シミュレーションと臨床応用

四肢の変形矯正
四肢の変形は、骨折後の変形治癒、先天奇形、変形性関節症など様々な原因で起こってきます。外観上の変形のみならず、近傍の関節の動きや安定性に障害がでたり、疼痛や関節症の進行の原因になったりもします。これらの障害を改善するためにも、正確な変形矯正が望ましいのはいうまでもありません。変形矯正が整形外科治療の基本手技の一つといっても良いでしょう。

変形矯正に対する我々の取り組み
当グループでは、コンピューターシミュレーションによる四肢変形に対する3次元矯正を行っています。
対象となる手足の変形した骨のCTデータをもとに、正確な3次元モデルをコンピューター上で作成して、反対側の健康な骨や正常な骨のデータを目標に3次元的にぴたりと矯正シミュレーションするのです。矯正シミュレーションには、独自に開発したコンピュータープログラムを用います。3次元的な変形軸を計算して理想的な矯正手術を提案する、全く新しい技術です。さらに、シミュレーション通りの手術を実際に行うために、予定の部位で骨を切り、正確に矯正するためのカスタムメイド手術部材を作成して手術に利用する試みを始めています。

(クリックすると動画が開きます)
新たな技術 =3D変形矯正コンピュータ・シミュレーション=
我々のシミュレーション技術では、これら問題をほとんどすべて解決しています。
正確な変形のデジタルデータを解析することにより、最適な手術計画をたてることが出来ます。また、カスタムメイド手術部材を設計・作成してシミュレーション通りの手術を行う試みも、実績を重ねて良好な臨床成績を得られつつあります。

CT放射線被曝の低減
気になるCT撮影の際の放射線被曝についても、最小の照射量で済むように基礎実験を重ねています。たとえば前腕(肘より先)であれば、従来の数十分の一の放射線被爆量で本シミュレーションに必要な撮影が可能となりました。

臨床応用
現在、特に正確な矯正が要求される上肢の骨折変形治癒を主な治療対象として、大阪大学附属病院倫理委員会の承認を得て臨床応用を開始しています。
具体的には、前腕骨折変形治癒、内反肘変形(小児の肘周囲の骨折後の変形)、橈骨遠位端骨折変形治癒(手首の骨折の後の変形)等が対象です。
その他の変形矯正に関しても、有効性を十分吟味して適応していきます。

すでに多くの臨床応用を実施し、良好な成績をおさめています。
症例報告1

症例報告2

問合せ先
本治療方法・技術に関してのお問い合わせは下記までメールにてよろしくお願いします。
村瀬剛 info@dr-murase.net
大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科)

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